加藤版画

加藤版画研究所(後改め加藤版画)は、昭和9(1934)年、加藤潤二(後改め順造)により創立いたしました。


昭和9(1934)年、ポール・ジャクレーの虹シリーズ(7枚セット)を出版したのを皮切りに竹久夢二、梅原龍三郎、川瀬巴水、東郷青児、岸田劉生等の木版画を制作・出版し、戦後は藤田嗣治、葛飾北斎、熊谷守一、岡鹿之助、小磯良平、牛島憲之等の木版画の制作・出版を手掛けました。

加藤版画の作品が現在も各界の美術愛好家にご好評頂いておりますのは素材にこだわり、それを作品の質として表わせたことによります。

各々の作品に適した色調、質感を表現し、年月を経ても色あせず味わいを増すようにと、絵の具、墨の質を吟味し、贅のかぎりをつくして選定いたしました。

また作品の深みを支える紙は越前生漉奉書(人間国宝 岩野市兵衛 手漉)、京都黒谷純生漉をはじめ、すべて生漉奉書を使用しております。現在では入手が困難といわれる素材ばかりです。

どれほど良い素材を用いても、木版である以上、画家、版元、愛好家から見て納得のゆく仕上がりが期待できる枚数は限られております。

版木の状態を保つために小数ずつに分け、全体として100から150枚を刷り上げた時点で、どの作品も廃版とし版木は廃棄致しております。

加藤順造没(1976年)後は作品制作は致しておりませんが、加藤版画研究所制作による版画の買取りと販売、コレクターとしての加藤順造が愛した画家たちの作品の取扱いを中心に営業を続けております。