vol.3『 U.S. ARMY PULL OVER 』

vol.3『 U.S. ARMY PULL OVER 』


「U.S.ARMYブルーデニムシリーズの系譜」

元々陸軍で使用されていたのはブラウンデニムでした。

⇓1906年、ガトリングガンを使用している州兵部隊。



ご存じの方も多いかと思いますが、馴染みの深いこちらの型。⇓


胸に大きなポケットが付いたこちらは、アメリカ陸軍で1905~6年頃に登場したブラウンデニムのプルオーバー。
1910年頃まで使用されていました。

当時陸軍では、製造コストが低い・大量生産が容易・壊れやすかったボタンの数が少ない等の利点からプルオーバー型を推奨していたようです。

ただ、現場の隊員達からは不人気だったようです。

●ブルーデニムシリーズ

ブルーデニムの制服が採用されたのは1908年。


【なぜブルーに?】

・戦前はドイツの染料を輸入していたが、手に入らなくなった為インディゴで代用するようになった。
・当時発注先のワークウエア製造業者に、デニムの生地が大量にあった。
・アメリカ海軍では、陸軍に先だってブルーデニムを採用していた。
・デニムは安価で、手入れが容易だった、等々。

”プルオーバーの悲劇”

当時大量に支給されていた、デニムのプルオーバー。
その多くが、前立てから切られていたそうです。


⇑左胸のポケットが外されています。


⇑よほど着にくかったのか、前身を切り、さらに片方のポケットが外されています。

CCCに関しては、フルボタンのカバーオールを民間から調達をしたりしたほどだそうです。
(CIVIL CONSERVATION CORPS/市民保全部隊)

●軍部vs隊員

隊員達が前たてを引き裂きはじめる。

軍部は返却された引き裂かれたジャケットを目の当たりにし、現場の声を聞き入れる。

1917年仕様を変更、3ポケットのデニムコートを生産。

数ヵ月後、大量に生産しやすいプルオーバー型に戻される。

1937年に大幅な制服改定。
しかし、プルオーバーの変更は無く、1940年まで存続。

ブルーのプルオーバーは1919年から採用(Spec No.6-125)1940年まで支給されていた。
1918年に作られていたブラウンとの違いは、色が変更された点のみ。


⇑プルオーバー・パンツ・ハットの3点セット。

約20年間も作り続けられていたプルオーバー。
その後、フルボタンが登場致します。

 

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