vol.8『 SNEAKERS 』

vol.8『 SNEAKERS 』

現代の運動靴の原型となったのは、英国 New Liverpool Rubber Company 社製のPRIMSOLL(サンドシューズ)である。

1850年頃、鉄道が開通すると都市に住む労働者階級が旅行するようになった。人々が列車で海辺に出かけるようになり、PRIMSOLLがヨーロッパで登場した。

 

 

PRIMSOLL LINE

英国議会の議員であるSamuel Plimsoll(1824~1898年)に由来。

船の過積載による船と乗務員の損失に関して懸念を表明。1876年以降、船体に白い線(PRIMSOLL LINE)が描かれるようになり、船が浸水するまでの深さを示すようになる。船が過負荷になった場合に喫水下に消える線で船の側面をマークする事を義務づける。

サンドシューズにも同じような帯状のゴムがあり、人々は足が濡れるまでの水深の目安にしていた。その為 “PRIMSOLL” と呼ばれるようになった。

 

PRIMSOLL LINE ↑

 

アメリカ

1900年代初頭、アメリカのラバーカンパニーがPRIMSOLLを作り始めた。

その頃、広告代理店が、音がほとんどしないので、履いたまま人に忍び寄ることができるとして、「スニーカー」と呼ぶようになった。また、ゴム靴のほとんどは、靴メーカーではなくタイヤメーカーが製造していた。

GoodrichU.S. RubberHood Rubberは、PF FlyersKedsArrowと呼ばれるブランドを立ち上げ運動靴の販売を開始した。

 

 

『 ゴムの歴史 』

初めてゴムを使用したのは、アマゾン低地のインディオだといわれている。

メキシコ、ベラレスクの近くの遺跡から出土したゴムのボールは紀元前16001200年頃作られたとされる。 このゴムをヨーロッパにもたらしたのはクリストファー・コロンブスである。

1495年第二回航海でイスパニョーラ島(現在のハイチ及びドミニカ共和国)のインディオが重いボールを使って遊んでいるのを見た。ボールは植物の樹液で作ったもので、驚くほど高く跳ねた。当時スペインでは、動物の膀胱を膨らませたものをボールゲームに使っていた。

コロンブスに続いた航海者が何度かゴムをヨーロッパに持ち帰るが、ただ「新大陸の珍しいもの」というだけで実用的な用途は見つからなかった。この頃のゴムは冬には固くなり、夏には粘りついて臭いがするという厄介な物であった。

ゴムの用途について最初に研究したのはフランスのシャルル=マリ・ド・ラ・コンダミーヌである。彼はフランス科学アカデミーから子午線の長さを測るようペルーに派遣され、その際に南米のジャングルを探検する機会を得た。この時彼は、エクアドルで先住民がカウチュックの木から白いねばねばした樹液を集めそれを煙で熱し、容器やボール、帽子、長靴などを作っているのを見た。

1735年ラ・コンダミーヌは樹液を固めたボールや樹液も持ち帰るが、煙で処理されていない樹液は航海中に発酵し役に立たないものとなってしまう。

 

イギリス

ゴムの使い道を見つけ出したのはイギリスの自然哲学者ジョセフ・プリーストリー(17331804年)。

それまでは鉛筆で書いた文字は湿ったパンで消していたが、ゴムの塊でこする方がよく消える事を発見すし、ゴムの英名である「RUBBER」こするものという意味で1770年に彼が命名した。

この消しゴムはイギリスで「インドゴム」という名を付けて売り出しをされるが、これはゴムがインドからきたという誤解を生んでしまった。

 

●マッキントッシュ

1823年ゴムの特性を活かした新たな用途を開発したのが、グラスゴーの科学者、チャールズ・マッキントッシュ(17661843年)。

ナフサ(ガス生産工場で出る廃棄物)にゴムを溶かして布に塗り、この布を使って防水コートを作った。このコートは「マッキントッシュ」と呼ばれ、この発見が引き金となりゴムは機械・靴下・長靴・帽子などにも使われるようになった。

ゴムをコーティングした上着は防水性が高く人気だったものの、相変わらず冬には硬くなり夏にはべたついてしまっていた。当然人々は買わなくなってしまい、ゴムのブームは低迷してしまう。

 

●グッドイヤー

このゴムの欠点を克服したのがチャールズ・グッドイヤー(18001860年)。

実験開始してから5年後の1839年ゴムに硫黄を加えて加熱する事で安定し、より強く、より柔軟になることを発見した。この発見によりゴムの用途は飛躍的に広がる。

1850年代になるとパリとロンドンで開かれた万国博覧会で全てゴムでできたパビリオンが現れ、広く知られるようになる。

 

●ダンロップ

1889年、イギリスのダンロップが初めて自転車用タイヤを開発。

スコットランド生まれの獣医ジョン・ダンロップは息子から「3輪車をもっと楽に、早く走れるようにしてほしい」と頼まれ、空気を入れたゴムのチューブを木の円板の周りに固定したタイヤを作り、三輪車に装着したところ、良い結果が得られた。これが評判を呼んだ為、ダンロップは空気入りタイヤの特許を取得。

1889年ダブリンに会社を設立。

それまでの固形ゴムのタイヤは空気入りのタイヤに取って代わられてしまう。

1906年には自動車用タイヤも開発。

1908年アメリカで発売されたT型フォードは19年間で約1500万台を売るベストセラーとなる。

1910年代以降、自動車産業が軌道に乗り始めると、ゴムは注目の商品となった。

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